好きになった子がいた。

2019.02.14 // 創作

好きになった子がいた。
会社の後輩だった。
小柄でニコニコしていて、僕によく懐いてくれた。
漫画が好きで、少し偏った趣味で興味が湧いた。
仕事を後回しにするほど、雑談をした。

自然に、彼女とデートするようになった。
好き嫌いが激しいようだが、好物はとても美味しそうに食べる。
ニコニコ幸せそうに食べる顔を見ると僕も幸せな気持ちになった。

結婚を前提に、同棲を始めた。
彼女は料理が上手だった。
とても幸せだったが、変化が現れた。
彼女は嫉妬深く、事務の女性と雑談しただけですごく怒っていた。
果てには会社の飲み会に行くことにさえ不快な態度を示し始めた。
異常だ。束縛が過ぎる。
僕は、華奢な彼女の中に狂気を感じるようになった。

そうしたことで度々ケンカするようになった。
二人とも、些細なことにイライラしていた。
ケンカを重ねるたび、愛を通り越した憎しみを感じる瞬間が増えていった。

その日も口ゲンカから始まった。
彼女は妙に弁が立つ。気違いのくせに。
僕は口では勝てない。
生意気な彼女の首に、両手をかけた。

白い喉元を僕の手が絞める。
彼女は僕の手を振り解こうとしない。
どうして抵抗しないんだ。
柔らかい肌に親指が深く、深く食い込んでいく。
顔が真っ赤になり、涙がポロポロ溢れている。
がはっ、ごぽっ、と普段の彼女からは想像もつかない醜い音が口から出ている。
ただ、充血した目は真っ直ぐ僕の顔を見ている。
怖い。
より力を込めた。
震えているのは僕の手か、それとも彼女の体なのか。
ハッとして手を放した。
どのくらいの時間首を絞めていたのだろう。
彼女は力なくうつ伏せに崩れていった。
僕はへたりこみ、彼女を見つめた。
床には失禁の水溜りが出来ていた。
ピクリとも動かない。
もう怖くない。
でも茫然として、僕は彼女だったそれを眺め続けた…


甚だ夜に近影

“可愛いからホラーまで”

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