
大江健三郎「死者の奢り・飼育」 レビュー
2018.12.21 // 本のレビュー
大江健三郎「死者の奢り・飼育」
死体洗いのアルバイトの都市伝説の元ネタと言われている小説。
本編ではホルマリン漬けの死体を違うプールへ運ぶ職務内容。
粘度をもって纏わりつく文体、死者・自己との対話が克明に描かれ実体験だと錯覚するほど生々しい。
ホルマリンは気化しやすいのでこんな管理の仕方はまず無理!と知っていても有りそう…と思ってしまうリアリティ。
バイトとしてやってるのにお給金もぐだぐたにされながら働くはめになる、そこも胸糞悪くてリアル。
人が死体になり、それが「もの」として扱われていく所もぐるぐる考えさせられる…
性・差別について度々出てくるのでげっそり。
短編集だが、どれも後味悪くて最高である。