夏が引きずってきたもの

2018.09.22 // 創作

小学生の頃、お盆に祖母の家に泊まりに行っていた。
すごく田舎で、僕以外の子どもは少なかったが一人の女の子と仲良くなった。
ゲームなんてなかったけど、その子と山を走り回っているだけですごく楽しかった。
お盆最後の日には川遊びをした。水をかぶり夏特有の陽射しに照らされる彼女はきらめいていた。
何だか僕は恥ずかしくなり、目を逸らした。すると彼女は悪戯っぽく笑い、抱きついてきた。
とっさに僕は突き飛ばした。彼女はバシャンと音を立て勢いよく沈み、そのまま下流に流されていった。
もがく白い手が見えたような気がした。
怖くなり、おばあちゃんの家に走った。彼女のことは黙って地元に帰った。
僕が彼女を殺してしまったんじゃないか。
そんな考えがぐるぐる回り、罪悪感から祖母の家には行かなくなった。

何年か経ち、祖母が亡くなったのでお葬式のために久し振りに田舎に行った。
草は青々と茂り、あの頃と変わっていないように見えた。ただ、彼女のいないこと以外は。

昔の記憶に浸りながら散歩していると、前方に喪服の集団が見えた。
葬式は明日だ。祖母の葬式ではない。
黒い人々が近づくにつれ、遺影が見えた。
額の中にいるのは、あの時遊んだ彼女だ。
僕は人殺しじゃなかったんだ。


甚だ夜に近影

“可愛いからホラーまで”

ごちゃごちゃ絵描き 甚だ夜に

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